首の痛み3 むち打ち症

むち打ち症(頚椎捻挫)

急停車や前方・側方からの衝突、後方からの追突による衝撃で身体が前方へ持っていかれ、頭がむちをしなるようにS字状の複雑な動きによって、頭を支える頚椎(首の骨)に強い衝撃がかかって痛めてしまう症状をむち打ち症(むち打ち損傷)といいます。筋肉や靭帯の損傷以外にも神経や血管にまでダメージを与えることもあります。

医学的な名称は「外傷性頚部症候群」と呼ばれています。衝撃によって筋肉や靭帯・軟部組織を痛めるパターン、首の骨の間から通る神経が圧迫されたり、頚部交感神経に障害を起こすパターン、脊髄損傷や脳を保護している脳脊髄液が減少し、えもいわれぬ痛みやだるさに悩まされるケースなど、専門的には5つのパターンに分類されます。以下に5つのパターンを簡潔にまとめました。

1.頚椎捻挫型

頚椎の筋肉や靱帯、それに関節包などの軟部組織が損傷されることによる症状で、むち打ち症の中で最も多い80%程を占めているといわれています。首を動かして痛みを感じたり、動かせる範囲が狭くなる、など寝違えの症状と似ている部分があります。また首だけでなく痛みが肩までくることや、頭痛、腕や手指の脱力感や疲労感も現れます。

2.根症状型

頚椎は7つの骨が組み合わさっており、その骨と骨との間にある神経根が衝突などでズレて圧迫されることにより、腕から手指にかけてのしびれやだるさ顔面や筋力低下、首や後頭部の痛み、顔面痛などがあります。せきやくしゃみで悪化するケースもあります。

3.頚部交感神経症候群(バレ・リュー症候群)

頚椎に沿って走る交感神経を損傷し、椎骨動脈のけいれん性収縮などから神経が異常に興奮した状態に陥ります。それによって頭痛にめまいや耳鳴り、倦怠感や視力障害、呼吸困難、のどの違和感など交通事故で起こる症状とは直接的に結びつかない場所に発症します。根症状型と混合して症状が出るパターンもあります。

4.脊髄症状型

頚椎を骨折や脱臼することで、中枢神経である脊髄が直接ダメージを受ける(いわゆる脊髄損傷)、むち打ち症の分類として最も重い症状です。下肢のマヒや歩行障害、知覚異常、排尿・排便障害などを引き起こし、後遺症として残るケースも多く深刻な状況です。

5.脳脊髄液減少症

交通事故やスポーツなどで頭や首、腰を痛めるなど身体への強い衝撃により、脳を保護している髄液が漏れ出してしまうことで様々な症状を引き起こします。脳脊髄液の量が減少することで、激しい頭痛や首の痛み、めまいや視力・聴力障害、倦怠感や疲労感などが現れます。横向きでは問題なかったのに、いざ立ち上がってしばらくすると症状が強く出ることがあります。

早めの診断、早めの治療が重要
むち打ち症は交通事故にあった直後はあまり症状が出ないことが多く、病院などでレントゲン撮影をしても骨には異常ない、と言われるケースがほとんどです。
しかし時間を追うごとに頚椎のズレなどから首や肩、腕にかけて痛みや関節の運動制限が現れ、対処が遅ければ遅いほど痛みはより強くなっていきます。それはレントゲンでは写らない、筋肉や靭帯、神経を痛めてしまうことが多いからであり、それを放置することで腕や手指のしびれ、頭痛やめまい、吐き気など出てしまうこともあります。状況によっては症状がなかなか抜けず、後遺症として残ってしまうケースも少なくありません。
不運にも受傷してしまったら、早めに医師の診断を受けてから整骨院でしっかり早期に治しきるように治療を受けていただくことが大事です。

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